発明情報

組織細胞の純化手法技術を確立!

内皮細胞/肝細胞/インスリン産生細胞の高純度精製技術を開発しました

背景

 多能性幹細胞は、体のほぼあらゆる細胞に分化することができ、その特性を利用して、再生医療や創薬研究が行われています。しかしながら、多能性幹細胞が他の細胞へ分化する効率にはばらつきがあるため、多能性幹細胞から全ての細胞を均一に目的の細胞へと分化誘導することは困難であり、誘導された細胞を適正に利用するためには、分化誘導された細胞を純化する技術が重要となります。
 細胞の純化の方法として、細胞表面抗原に対する抗体を利用する方法があるものの、多くの細胞種に特異的な抗原は特定されておらず、その分離を困難なものにしています。

発明概要と利点

 本発明は、合成したmRNAを導入することにより、内皮細胞、肝細胞、インスリン産生細胞に特異的に発現するmiRNAの活性を検知することでこれらの組織細胞を分離・精製することを特徴とするものです。具体的には、内皮細胞で特異的に発現しているmiRNAとしてmiR-126-3p及びmiR-126-5pを特定し、これらのmiRNA応答性mRNA(miRNAスイッチ)に含まれるマーカータンパク質(例. EGFP)を単体又は組み合わせて内皮細胞を含む心筋細胞群に導入の上、当該マーカータンパク質の翻訳量の大小に基づきフローサイトメーター、イメージングサイトメーター、蛍光顕微鏡、発光顕微鏡、CCDカメラ等の検出器を用いて検出を行い細胞分離を可能としました(アポトーシスを引き起こす遺伝子Bimを使ったRNAスイッチを設計し、心筋細胞ではアポトーシスが抑制されるものの、心筋細胞以外ではBim遺伝子が働きアポトーシスが起こるようにすることで、心筋細胞を機械で選別をすることなく自動的に純化することも可能としました)。同様にmiR-122-5pスイッチによる肝細胞の選別、miR-375スイッチによるインスリン産生細胞の選別についても可能としました。いずれの細胞も精製された目的細胞の純度は90%を超えるものであり、人工RNAを細胞に作用させる当該方法は、ゲノムに傷をつけにくいことと、作用させるRNAの寿命が短く、自然に除去されることも利点であり、再生医療などの臨床においても利用可能と考えらます。

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開発段階 ・ヒト試料を用いたin vitro実験により効果確認
発表状況 Cell Stem Cell. 2015 Jun 4;16(6):699-711.
Doi:10.1016/j.stem.2015.04.005
特許情報
発明の名称
組織細胞の選別方法
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
6960159
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