音声機能のリハビリテーションからエンターテイメント用途まで、目的に応じて柔軟に活用可能な、Mixed Reality技術を応用した音声治療支援機器を開発しました。
音声障害(声帯ポリープ、結節、筋緊張性発声障害など)の治療は、言語聴覚士によるリハビリが中心ですが、専門人材の不足により、地域や施設ごとに治療の質に差が出やすい現状があります。さらに、従来の治療法は経験則に依存する部分が多く、担当者の熟練度によって効果に差が生じやすいほか、科学的エビデンスの蓄積が進まないことも課題となっています。また、患者単独でのリハビリでは治療の継続が難しく、治療効果の再現性とアドヒアランスの確保に向けたシステムの整備が求められています。
本発明は、従来の音声の可視化に加え、あらかじめ音声特性の目標値を設定し、ユーザーの発声がそれにどれだけ近いかをリアルタイムにスコア化・評価できる機能を備えている点が特長です。音声の雑音成分の割合と高調波エネルギー成分の割合に着目した独自のアルゴリズムに基づく音響分析手法(図1)とMR(複合現実)を融合させることで、音色や声の高さなどの音声の特徴を直感的に可視化し、ゲーム感覚で楽しみながらトレーニングできるインターフェースを実現しました(図2)。
本技術は、医療現場での音声治療の定量的・再現的なフィードバック支援に加え、療育、介護予防、ボイストレーニング、健康管理など幅広い応用が期待されます。
⮚ 治療効率とアドヒアランス向上
音声の視覚的フィードバックによって、言語聴覚士との意思疎通やリハビリをより効果的に行うことができます。
⮚ 音声治療品質の担保
治療の標準化や効果測定、エビデンスの構築が可能となり、個々の治療担当者の経験の差に左右されない、一貫性のある医療提供が実現します。
⮚ 治療アクセスの向上
専門家の不足する地域でも、本技術を活用した治療機器を用いることで、より多くの患者への治療機会の拡大が期待されます。
開発段階 | ・調波構造に基づく声質評価指標の計算手法を開発 ・リアルタイム計測に対応したAndroid解析ソフトを作成 ・オープンテストにて効果を確認 TRL:レベル4 |
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希望の連携 | ・特許実施許諾契約* ・オプション契約* ・共同研究契約 *京都大学から特許出願中です。 特定分野に限定した独占ライセンスも応相談。 |
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