発明情報

RNA-タンパク質ナノ構造体の精緻な制御技術を開発!

人工RNA-タンパク質ナノ構造体への新たな機能付加と同機能制御に係る技術を確立しました

背景

近年、分子設計によるナノメートルスケールのRNA構造体の構築例の一つとして、RNAとタンパク質の利点を併せ持つ材料として、RNA分子の構造変化をタンパク質で誘導する人工RNA-タンパク質(RNP)ナノ構造体が作製可能となりました。RNPナノ構造体の利点の一つとして、全体の骨格構造をRNAで、機能に係る部位をタンパク質で作ることによって、設計の容易さと構造/機能の複雑さを同時に実現出来ることにあり、本発明者自身も近傍のタンパク質制御により正三角形状のRNPナノ構造体の作製にも成功していました。RNPナノ構造体の産業利用、例えば薬物送達システムとしての応用を検討した場合、より精緻な制御技術の確立が望まれていました。

発明概要と利点

本発明は、発明者による更なる創意工夫により、RNA-タンパク質間の相互作用を用いて、正三角形状のRNPナノ構造体において、柔らかな環状の構造からリジットな正三角形状へのダイナミックな構造変換制御が可能となりました。

また、機能性RNPナノ構造体として、タンパク質部位に特定の癌細胞を認識する、選択的認識部位を持たせることにより、RNPナノ構造体に特定の機能を与えることを可能としました。具体的には、細胞表面上で発現しているレセプターを選択的に認識する部位を設けることで標的細胞へのデリバリーが可能となり、更に標的遺伝子の働きを抑制する低分子二本鎖RNA (siRNA)をRNPナノ構造体に装着することで、細胞内で効率よく遺伝子制御を実現出来ることとなりました。

 当該機能性RNPナノ構造体を技術的に応用することで未分化細胞や標的がん細胞を選別し、選択的に細胞死を誘導する方法を新たに確立出来る等、様々な産業上の応用の可能性が当該機能性RNPナノ構造体には備わっています。

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RNPナノ構造体の選択機能に係る概念図等

  1. プロテインAのIgG結合ドメインを改変したライブラリーからファージディスプレイ法により選択されたペプチドであるAFBを各頂点に保有するTri-AFBナノ構造体が細胞を選択的に識別する様子
  2. Tri-AFBナノ構造体の選択率比較(SKBR3, MCF-7, MDA-MB-231はそれぞれ乳癌細胞株名を表す)。縦軸が当該細胞へ結合した同構造体の蛍光強度を示す。

開発段階 ヒト試料を用いたin vitro実験により効果確認
発表状況 ACS Nano. 2014 Aug 26;8(8):8130-40.
doi:10.1021/nn502253c
特許情報
発明の名称
RNA-タンパク質複合体及びこれによるRNAおよびタンパク質のデリバリーシステム
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
特許第6969810号
希望の連携 ・実施許諾契約
・オプション契約
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