あるアミノ酸配列「VLP-tag」を、任意のタンパク質に付加するだけで、ウイルス様粒子にタンパク質を内包することができます。
ウイルス様粒子(VLP)は、その安定性や細胞選択性などから、in vivoでのタンパク質導入に有効な方法として技術開発が進められてきました。タンパク質導入は、転写や翻訳が不要であるため、即効性を有することも特徴です。また、抗体医療においては、細胞内部の標的分子まで抗体を届けることを可能にする新たなツールとして大きく注目されています。しかし、既存技術では、大量のリコンビナントタンパク質を調製する手間や導入効率の低さが課題です。限られた空間の粒子内部に目的のタンパク質を、簡便に効率よく梱包する技術が必要とされています。
発明者らは、レンチウイルスのカプシドタンパク質と相互作用するアミノ酸配列「VLP-tag」を開発しました。VLP-tagを付加した任意のタンパク質はVLP内部に自己集合的に取り込まれます(図1)。これより、任意のタンパク質を高い効率で大量に梱包するVLPを作製することが可能となりました。本発明技術により、抗体医薬やゲノム編集技術など、多岐にわたる応用が期待されます。
⮚ VLP-tagを介して、VLP内にタンパク質の梱包を促進します。
1粒子あたり平均約1,700分子のNanobodyが封入可能(図2)。
ウイルスゲノム非搭載のため、P1レベルの実験施設でも取り扱えます。
⮚ 精製タンパク質は不要です。
生産コストを大幅に軽減します。
高分子量のタンパク質(Cas9など)を内包させることもできます。
⮚ 既知のエンベロープタンパク質(図1)を利用できます。
エンベロープタンパク質によって特定細胞への指向性を備えることで、標的細胞を選択できます。
![[8863]fig1.png](https://www.tlo-kyoto.co.jp/patent/images/%5B8863%5Dfig1.png)
図1.目的タンパク質がウイルス様粒子(VLP)に内包され標的細胞内に送達されるまで
生産細胞において、①VLP-tagを付加した任意のタンパクプラスミド、②カプシドプラスミド、③エンベローププラスミドを発現させます。VLPタグとカプシドタンパク質との相互作用により、目的タンパク質がVLP内部に効率よく梱包され、自己集合的にカプシド(殻)構造を形成します。VLPは標的細胞の受容体を介して、融合・侵入した後に、細胞内で脱殻されることで、目的タンパク質を細胞内に放出します。
![[8863]fig2.png](https://www.tlo-kyoto.co.jp/patent/images/ab747b4c41c11bf9283244c016f3cbf1bcdc7a9b.png)
| 開発段階 | ・細胞質への送達プロファイルを確認済み。 ・Nanobody送達によるがん抑制効果 ・ワクチンや抗体の開発に利用中。 |
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| 希望の連携 | ・特許実施許諾契約 ・オプション契約(MTA可) ・共同研究契約 ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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