多検体のRNA-seqライブラリー調製を効率化できる逆転写プライマーを開発しました
網羅的にRNAを検出する手法としてRNA sequencing(RNA-seq)が広く用いられていますが、ライブラリー調製法が煩雑であるため多検体の同時処理が難しく、スループット性の向上が課題となっていました。この課題に対し、ランダムプライマーを用いた逆転写工程において、検体ごとに異なるインデックス配列を有するプライマーを使用して、検体に識別子を付与する方法が提案されています。これにより複数の検体をまとめて効率的に処理することが可能となります(図1)。
しかしながら、本発明者らの検討により、この手法では使用するインデックス配列の違いによりRNAの検出傾向が変動するという重大な問題が存在し、正確なRNA検出解析を行う上で不適切であることが明らかになりました(図2左)。
発明者らは、特定の構造を持つランダムプライマーを逆転写に使用することによって、プライマーのインデックス配列に由来するRNA検出バイアスを大幅に低減できることを見出しました(図2右)。この技術により、RNA検出精度を損なうことなくハイスループットな多検体解析が可能になり、ライブラリー調製の時間と試薬コストを大幅に削減できます。
![[8727]fig.1.png](https://www.tlo-kyoto.co.jp/patent/images/%5B8727%5Dfig.1.png)
図1. RNA-seqライブラリー調製のハイスループット化
インデックス配列を持つランダムプライマーを使用することで、複数の検体をまとめて処理することができ、作業時間と試薬コストを削減できる。
![[8727]fig.2.png](https://www.tlo-kyoto.co.jp/patent/images/%5B8727%5Dfig.2.png)
図2. 本発明のプライマーで調製したライブラリーにおける、RNA検出傾向の比較
同一のTotal RNA検体に対し、インデックス配列を持つランダムプライマーを使用してライブラリーを2反復分調製し、FANTOM5プロモーターのRNA発現レベルを反復間(黒ドット)とインデックス配列間(赤ドット)で比較した。従来のランダムプライマーではインデックス配列がプライマーのアニーリングに影響を及ぼし、インデックス配列間でRNA検出傾向が顕著にばらついた。本発明のランダムプライマーでは反復間と同程度までばらつきが抑制できた。
| 開発段階 | 約500検体のRNA-seq(CAGE法)に適用し、ライブラリー調製の作業時間と試薬コストが従来の1/10以下に削減され、RNA検出精度に問題がないことを確認済み。 |
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| 希望の連携 | ・ 実施許諾 ・ オプション ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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