本発明はデータスティッチングに関する新しい技術である。
データスティッチングは、個々のデータをつなぎ合わせて、1つの統合データを得る技術である。例えば、一度の測定で計測しきれない、大面積の材料の表面構造を測定したり、複数の写真を合成して1枚の写真に組み上げるときなどに使われる。
従来技術は、単純平均や最小2乗法を使って、個々のデータ(表面測定なら測定した位置データ、写真合成なら写真の色彩データ等)の中間データを算出し、この中間データを橋渡しとして、個々のデータを接続する。しかしこの際、それぞれの測定データ間に生じた不整合を補償しないまま接合していた。
京都大学の栗田准教授は、個々のデータを弾性体とみなすことで、不整合が生じない、最適なデータ接続技術を確立した。
本技術を用いれば、例えば既存の測定装置により得られた測定データをより適切に統合することができるため、精度の高い測定装置を導入しなくても、誤差の少ない測定結果を得ることが可能になる。また画像合成ならばよりツギハギ感が少なく、均整のとれた合成画像が得られると期待できる。
測定した元データのままだと実際の対象物表面の形状と大きく誤差がある。
本技術により、実際の表面形状に限りなく近い測定結果が得られた。
(標準偏差で約1/4、ピーク-ピーク値で約1/5の改善)
開発段階 | 本技術を用いたシミュレーションにより、既存技術で得られたデータのスティッチング精度が飛躍的に高まることを確認している。 |
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発明者 | 京都大学 理学研究科 栗田光樹夫 |
特許情報 |
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