発明情報

簡単に磁気光学効果を増強させる新たなデバイス

貼るだけでデバイスの磁気光学効果を増強できる、ナノアンテナのシールを開発しました。磁気光学顕微鏡や磁性ホログラムによる3D像映写装置などの性能向上に貢献します。

背景

磁性体の磁気光学効果を利用したスピン注入型空間光変調器(スピンSLM)は、高速かつ高精細なホログラム映像を可能にする技術として開発が進められています。また、磁気光学効果は、材料評価において有用な磁気イメージング技術(磁気光学顕微鏡)などにも応用されています。
しかし、従来知られている磁性体がもつ磁気光学効果は小さく、スピンSLMを用いたホログラムの表示性能や、磁気イメージングの分解能は不十分でした。解決策として、金属ナノ粒子を周期的に並べたナノアンテナを用いて磁気光学効果を増強する研究も知られてますが、作製工程が複雑であり、利用できる材料も限られているため、既存の磁気光学デバイスに組み込むことは容易ではありませんでした。

発明概要と利点

発明者らは、周期的に並べた金属ナノピラーを透明樹脂に埋め込んだ、サブミクロン厚のナノアンテナシールを開発しました(図1)。

  • 磁気光学効果の大幅な増強を実現

磁性膜(Gd-Fe薄膜)に本発明のナノアンテナシールを貼り、磁気光学効果の応用上重要な、垂直入射に対する反射光の偏光面の回転角度である極カー回転角を測定したところ、入射光波長600~750nmの範囲で3倍も増大することが確認されました(図2)。本技術は、磁気イメージングの解像度の向上に貢献します。また、RGBに対応した金属ナノピラーを選択することで、ホログラム映像のカラー表示も可能になります。

  • 作製・取扱いが容易

本発明のナノアンテナシールは、リソグラフィー技術やナノインプリント技術などの既存の手法を用いて作製することが可能です。既存の磁気光学デバイスに貼って磁気光学効果を増強することができ、はがしても貼り直すことができるので、何度も再利用・位置合わせを行うことができます。

開発段階 ・ナノアンテナシールをスピンSLM用磁性膜に貼って、カー回転角が増大することを実証。
・現在、アンテナ設計の最適化を検討中。
希望の連携 ・実施許諾契約
・オプション契約(技術検討のためのF/S)
※本発明は京都大学及び日本放送協会から特許出願中です。
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