発明情報

構造制御された多分岐ポリマーの簡便な合成法

分岐数や分岐密度が制御されたポリマーを1回の合成で製造することを可能にする多分岐ポリマーの合成法です。

背景

 樹状に枝分かれした多分岐ポリマーは、通常用いられる線状のポリマーと異なる様々な特徴を持ちます。特に、抵抗が小さく粘度が低い点や、様々な原子に置き換えられるポリマーの末端部分を多く持つという特徴を持つことから、粘度調節剤、潤滑剤、触媒、薬品輸送システムなど、多くの応用分野ですでに利用されています。
しかし、製品で用いられている多分岐構造ポリマーは分子量、分子量のばらつき、分岐数、分岐間隔といった三次元(3D)構造が制御されていません。中には3D構造の制御された多分岐ポリマーもありますが、合成に手間がかかるため大量に入手するのは困難でした。

発明概要と利点

発明者らは、リビングラジカル重合法の一種であるTERP (Organotellurium-mediated radical polymerization)を用いた、多分岐ポリマーの実用的な構造制

御合成法を開発しました。


➢簡便な合成法
新しく開発したモノマー分子(2)と有機テルル重合制御剤(1)とアクリル酸エステル(MA)とをリビングラジカルにより重合することで、3D構造の制御された枝状の分岐構造を持つ多分岐ポリマーを合成できます(図1)。


➢分岐構造(分岐数・分岐密度)を容易に制御可能
有機テルル重合制御剤(1)、新モノマー(2)、アクリル酸エステル(MA)の量比を変えることで、分子量のばらつきが少ない状態を保ったまま分子量、分岐数、分岐間隔を自在に変えることができます(図2)。


➢想定される多分岐ポリマーの用途
分岐構造(分岐数・分岐密度)を容易に制御して、流体力学的体積、粘度を系統的に変化可能であるので、新規の機能材料として、医療材料、電池等の環境材料、触媒の担持体、各種添加剤等への応用が想定されます。

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開発段階 ・新規の開始剤の開発
・ポリマーからテルル末端を除去する方法の開発
・エマルジョン重合を⽤いた合成法の開発
・極性官能基の導入法の開発
希望の連携 ・実施許諾契約
・オプション契約
・共同研究
※本発明は日本、米国、欧州(ドイツ、イギリス、フランス)、中国、オーストラリアで登録されています。
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