発明情報

生体組織の配向性を再現した移植可能な細胞シート

培養基材の面内に生じる力学的異方性を利用して配向した細胞シートを作製する技術です。

背景

再生医療分野では、細胞が自己集合的に形成した細胞シートの応用が期待されています。また、骨格筋や心筋等の生体組織は配向性を有しており、配向性は生体組織の機械的性質のみならず、機能発現にも重要です。これまでに、例えば温度応答性ポリマーを用いて細胞シートを作製する技術が知られていますが、温度応答性ポリマーでは細胞の配向を制御することが困難でした。また、細胞の配向を制御する技術として、例えばナノサイズの突起部と平坦部とを培養面に交互に配置した培養基材が知られていますが、この培養基材では細胞を配向させることができても培養基材から細胞シートを剥離することが困難でした。このようなことから、移植可能且つ配向した細胞シートを作製する技術が望まれています。

発明概要と利点

発明者らは、培養基材の面内に生じる力学的異方性を利用した配向性細胞シートを作製する技術を開発しました。

➢ 培養面に凹凸を設けることなく細胞の配向性を制御
 本発明では、細胞培養面の裏面にリブ構造を設けて培養基材の面内に力学的異方性を生じさせます(図1)。

 例えば、図2右側に示すようにリブ構造を(構造的に等二軸ではない)菱形に配置した場合には面内に異方的な力学特性が生じることで、細胞を一軸方向に配向させることができます。一方、図2左側に示すようにリブ構造を(構造的に等二軸な)正方形に配置した場合では面内に異方的な力学特性が生じず、細胞は様々な方向に向きます。

 なお、リブ構造を正方形に配置した場合でも縦方向のリブの幅と横方向のリブの幅とを変えることで面内に異方的な力学特性が生じ、細胞を一軸方向に配向させることができます。


➢ 生体適合性材料や生体分解性材料から構成

 作製した細胞シートを培養基材から剥がすことなく、そのまま移植に用いることが可能になります。

➢ 培養基材を製造する装置も開発
 培養基材を大面積(数10cm)にすることが可能です。また、リブ構造の配置間隔を任意のパターンとすることも可能です。

  

開発段階 • C2C12細胞を用いた細胞の配向性制御を確認。
• 培養基材を製造する装置の開発。例えば大面積(数10cm)な培養基材や任意の間隔でリブ構造を配
置した培養基材を製造可能。
希望の連携 • 実施許諾契約
• オプション契約
(技術検討のためのF/S)
※本発明は京都大学から特許出願中です。
WO2022/118977
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