発明情報

糖無水物の高収率生産を可能にする、セルロース系バイオマスの熱分解方法

糖無水物を高収率かつ高純度で得ることができます。

背景

セルロースは、β-グルコースが直鎖上に重合した天然高分子であり、これを変換し得られる糖類及びその無水物である糖無水物は、バイオプラスチック、バイオエタノール、医薬品合成原料等に利用可能な有用な化学物質です。セルロースの変換法の1つである熱分解法は、高濃度の糖溶液を得るのに適しますが、炭等の副産物が生成してしまうことや糖無水物の収率の低さが、実用化に向けての課題とされていました。

発明概要と利点

発明者らは、セルロース糖鎖の熱分解開始において、鎖の片端の還元性末端が重要であることを見い出しました。また、急速に熱分解を行うことが、炭等の副生成物の産生を抑制することも確認しました。これらの発見をもとに、130~350°Cの低温条件下でグリセリン等のアルコールとともにセルロースを加熱し、当該セルロースにできた還元性末端をキャップする工程と(図2)、その後にさらに高温条件で反応させる急速加熱を行う工程とを組み合わせることで、セルロース系バイオマスから高収率かつ高純度で糖無水物を得る方法を確立しました。


➢ 特殊装置が不要なプロセス
常圧下で急速熱分解するため、特殊な装置を必要としません。

➢ あらゆる原料形態に適用可能
原料のセルロース系バイオマスは、粉末やシート状といった形状の限定を受けず、様々な
形態のものを用いることができます。

➢ 有機溶媒を用いない、乾燥条件下での反応
最終生成物として得られる糖溶液の高濃度化が容易に達成できます。

➢ 副生成物が産生しやすい昇温過程域での反応をスキップ
本発明によれば、炭などが発生しやすい温度域での反応を避けられます。

希望の連携 WO/2021/172482
※日本・米国・欧州・中国・タイへ移行出願し、各国にて審査待ち段階
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