移相幅の狭い移相器を使用しつつ、グレーティングローブの発生が低減された フェーズドアレーアンテナ装置を実現します。
フェーズドアレーアンテナ装置は複数のアンテナ素子を配列し、移相器により位相を制御する通信装置であり、通信分野において様々な応用が可能です。従来の技術では360 °の移相幅を有する移相器が一般に使用されていますが、広い移相幅を有する移相器はサイズが大きく損失も大きいため、装置の設計における自由度が低くなってしまいます。また、移相器の個数を抑えた設計の場合、上記の問題を軽減できる一方で、ビーム効率を低下させるグレーティングローブが発生します。そのため、これらの問題を克服したフェーズドアレーアンテナ装置の開発が求められています。
本発明は、複数のサブアレーを有するフェーズドアレーアンテナとしつつ、位相の制御方法を工夫することによって、移相幅が360 °未満であるような移相器を使用しても、グレーティングローブが発生しないフェーズドアレーアンテナ装置を実現できます。
狭い移相幅を有する移相器を使用できるため、小型で低損失な移相器を用いて、フェーズドアレーアンテナ装置を構築できます。狭い移相幅を有する移
相器を用いても、大規模なフェーズドアレーアンテナ装置や分散型のフェーズドアレーアンテナ装置を構築できるようになります。さらに、狭いアンテ
ナ素子の間隔を有し、小型の移相器を必要とするミリ波帯用のフェーズドアレーアンテナ装置の構築も可能です。
移相器の個数を減らした従来設計においては、-10 °のビーム走査角とした際に10 °付近に大きなグレーティングローブが発生しています(図1左)。一方、本発明を用いると、ビーム走査した際の大きなグレーティングローブの発生が抑制されています(図1右)。
開発段階 | 本発明の設計と従来設計のフェーズドアレーアンテナとで、シミュレーションによる比較を行い、本発明の設計によるグレーティングローブの低減を確認済み |
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希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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