この技術により正常幹細胞を標識することなく、がん幹細胞のみを蛍光で標識できます。
がん組織中には、抗がん剤治療や放射線治療を行っても死滅せず、治療後に自己複製やがん細胞を生み出すことで
がんの再発や転移に寄与するがん幹細胞が含まれています。
従来、正常幹細胞を含めた幹細胞に強く発現するアルデヒド脱水素酵素1A1(ALDH1A1)に反応する分子プローブ(例えばAldefluor™)を用いてがん幹細胞の蛍光
による可視化が行われてきましたが、正常な幹細胞とがん幹細胞との区別ができないことが問題でした。
発 明 者 らは、がん 幹 細 胞 を 正 常 幹 細 胞 から 区 別 して 標 識 する 蛍 光 プローブ(CHO_βgal) を開発しました。
CHO_βgalは、ALDH1A1の基質となる官能基に加えて、がん細胞に強く発現するβガラクトシダーゼの基質となる官能基をもちます。
この二つの官能基が分解されると、近赤外領域 (発光極大720nm) の強い蛍光を発します。
二つの官能基が分解されるまでは蛍光を発しないため、がん幹細胞をSN比良く標識することが可能です。
生体での蛍光観察では自家蛍光(350~550nm) によるバックグラウンドが問題となりますが、 CHO_βgalは近赤外域の蛍光を発するため、
観測の際に自家蛍光の影響を受けません。
開発段階 | • 細胞毒性の評価済 • マウスの肺がん転移モデルで未固定な肺においてがん幹細胞の検出を確認 |
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希望の連携 | ・実施許諾契約 ・オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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