振電相互作用密度理論を基にした分子設計により高機能化した二光子吸収材料です。
二光子吸収は一つの分子またはクラスターが二つの光子を同時に吸収して励起状態へと遷移する電子励起過程です。二光子吸収では、光強度が高い微小空間だけで選択的に光励起を起こさせることや、生体透過性の高い近赤外光(700~1300nm)を使って同様の遷移を起こすことが可能です。しかし、従来の二光子吸収材料には、二光子吸収断面積が小さく分子サイズも大きいという課題がありました。そのため、光吸収効率の低下、生体への影響や適応範囲が制限される問題が存在していました。
本発明者らは、振電相互作用密度 (VCD) 理論に基づき、さまざまな材料の機能 向上に取り組んでいます。今回、VCD理論に基づく分子設計を通じて、特定の発 光材料において、核となる金属構造体とそれに最適な配位子である有機化合物を 見出しました。この結果、二光子吸収断面積が大きく、分子サイズが小さいとい う特徴を兼ね備えた二光子吸収材料を開発しました。また、この材料は近赤外領 域で発光することから、蛍光観察やイメージングにおける信号強度の向上や、光 源強度の低減による観察対象の損傷軽減、さらには生体内部の深部観察の可能性 を拡大することが期待されています。
➢ 二光子断面積を大幅に向上
生体に使用する近赤外領域で、例えば850nm付近では、従来材料が約1000GMだったところを、本材料では5200GMまで向上させました。
➢ 分子サイズの小型化を実現
本材料は等方性でサイズが小さく、また、二光子吸収波長が生体透過性を示す近赤外域にある場合、生体内に配置して利用ができます。
開発段階 | ・基本設計及び材料としての特性および機能は確認済み ・サンプルの提供可能 |
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希望の連携 | ・ 実施許諾契約 ・ オプション契約 (技術検討のためのF/S) ・ 共同研究 ・ MTA ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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