先天性不妊症マウスに、ある特定のmRNA配列を投与することで生殖能力が回復することを発見しました。
不妊症に対する遺伝子治療の研究ではこれまでにDNAウイルスやRNAウイルスを用いて不妊症マウスモデルの治療が行われてきました。しかし、これらの技術はウイルスを用いているため、長期にわたって個体内にウイルスが残存してしまうという点から発がんのリスクが懸念されました。一方、mRNAの投与はタンパク質の発現期間が短いために長期的な配偶子形成が困難だと考えられていました。
先天性不妊症のマウスは遺伝的に特定の分子が欠損しているために不妊になります。本発明では、精子形成が停止した雄のマウスの精巣に対して特定のmRNAを注入することで、精子形成が進行し、成熟した精細胞である伸長精細胞を確認することができました。この精細胞を用いて顕微授精させ、子孫を作ることにも成功しました。不妊の雌マウスに対しても、特定のmRNAを投与することにより子孫作製に成功しました。
➢mRNAはゲノムに挿入されないため、安全な不妊治療が可能となる
➢mRNAの発現は一過性であり体内への過度な影響はない
➢体内環境を整えることで自然妊娠が可能となる
➢抗がん剤や放射線の治療を受けたことによる後天的な不妊症の患者においても、体内環境を整えることで自然妊娠が可能
開発段階 | in vivo(マウス)で特定のmRNA配列を投与することでオス・メスどちらも不妊状態が改善した結果を得ている。 |
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希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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