心筋梗塞治療、及び、心筋細胞の増殖に効果の期待できる化合物を明らかにしました。
現在、日本では心筋梗塞の症例が年間10万例弱認められています。ゼブラフィッシュや生後1週間のマウスの心筋は増殖能を保持しており、心臓損傷後も再生が可能であるのに対して、ヒト心筋細胞は増殖能が低く、ターンオーバーは年に数%程度であり、心臓再生能もほぼないと考えられています。心筋細胞を増殖可能とすることにより、心臓の再生を促し心臓再生医療に大きく寄与できることが期待されます。
本発明は、ALK阻害剤、シトクロムP450オメガ-ヒドロキシラーゼ阻害剤、および脂肪酸合成阻害剤が心筋細胞の増殖を促すことを明らかにしました。
➢多能性幹細胞由来心筋細胞を大量に培養できます。
本発明者らは、ヒト心筋細胞の増殖を誘導しうる化合物を見出すため、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて約980個の化合物ライブラリーを対象に2回のスクリーニングを実施し、第2回スクリーニングにおいて有意に心筋細胞増殖活性を示した化合物を特定しました(下図)。
心筋細胞増殖活性を有する化合物のスクリーニング
縦軸:EdU(5-ethynyl-2'-deoxyuridine、細胞増殖の指標)陽性かつcTnT(心筋トロポニンT、心筋マーカー)陽性の核数、positive control:Uosaki et al. 2013の化合物を一部改変
ヒット化合物は、R2290-098:12(S)-hydroxy-16-heptadecynoic acid(cytochrome P450 ω-hydroxylase阻害剤)、R2290-358:C75(tetrahydro-4-methylene-2R-octyl-5-oxo-3S-furancarboxylic acid、脂肪酸合成阻害剤)、R2290-370:Cerulenin(2R,3S-epoxy-4-oxo-7,10-dodecadienamide、脂肪酸合成阻害剤)、R2289-949:LY364947(4-(3-(pyridin-2-yl)-1H-pyrazol-4-yl)quinoline、TGF-β1型受容体(TGF-βR1/ALK5)阻害
開発段階 | ・ ヒト試料を用いたin vitro実験により効果確認 |
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希望の連携 | ・ 実施許諾契約 ・ オプション契約(技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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