発明情報

強迫症およびプロセス依存症の治療薬

難治性精神疾患である強迫症(OCD)やプロセス依存症に対して有効性、即効性の高い治療候補薬を見出しました。

背景

強迫症(OCD)とプロセス依存症は、必要以上に特定の行動を繰り返すことで日常生活に著しい困難を生じる点や、患者自身が意識的に制御することが困難であるという点で、類似性があると言われています。本邦における強迫症の薬物治療は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬の高用量かつ長期間投与のみが認可されていますが、半数以上が抗うつ薬が無効、効果不十分な治療抵抗性患者です。また、ゲーム依存やインターネット依存など、特定の行動を過剰に反復するプロセス依存症は、近年定義された新しい疾患であり、治療薬がありません。そのため、これらの病態のメカニズムに基づいた薬剤開発が必要とされています。

発明概要と利点

発明者らは、独自に構築した医療ビッグデータ解析から、薬剤誘導型OCDモデルマウスを作製しました。このモデルはSSRIが無効であるため、難治性OCDを再現していると考えられます。さらに、本モデルの詳細な解析から、線条体に存在するD1受容体陽性ニューロンとD2受容体陽性ニューロンの機能的バランス異常を見出し、これを是正できる標的遺伝子と治療候補薬を特定しました。(図1)

利点
➢強迫症患者のうち、半数以上が抗うつ薬が無効、効果不十分であるが、本治療候補薬は治療抵抗性の患者にも効果が期待できる。
➢強迫症とプロセス依存症は、駆り立てられるような反復行動という症状の類似や行動制御に関与する皮質-線条体経路の異常というの病態メカニズムの類似が報告されている。このため、本治療候補薬が世界初のプロセス依存症治療薬となることが期待できる。

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図1.OCDモデルマウスの常同行動に対する本治療候補薬投与の効果
薬物による反復行動軽減効果の評価として、げっ歯類における強迫行動の指標(ケージの床敷きを繰り返し噛む常同行動)を測定した。OCDモデルマウスに本治療候補薬、既存の治療薬(抗うつ薬シタロプラム)、抗不安薬(ジアゼパム)、及び溶媒を1日1回腹腔内投与し、投与1日目、4日目の常同行動を10分間観察した。本治療候補薬3mg/kgの投与によって、常同行動が抑制されることを確認した(左図)。一方で、既存薬では有意な抑制効果は見られなかった(右図)。

開発段階 ・OCDモデルマウスにおける治療候補薬の効果を確認。
・適応拡大に向けた検証を実施中。
希望の連携 •実施許諾
•オプション
•共同研究
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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