NMR, MRI、ESR分光法、時間分解蛍光分法のノイズ低減を信号処理ソフトウェアにて実現できる「新たなノイズ低減方法」を提供します
信号の計測には常にノイズ成分が混入します。そのため、例えば固体核磁気共鳴(以下、単に固体NMR法と呼ぶ)等の感度が低い測定法においては、計測時に混入するノイズの存在がその後の解析を困難にしています。これまで、計測データに含まれているノイズ成分を除去するための様々な方法が提案されてきました。
例えば、固体NMR法における感度向上の手法としては、超伝導磁石の高磁場化、クライオプローブの使用、マジック角回転法(MAS)法、および動的核偏(DNP)法などの装置開発や、交差分極(CP)法、およびプロトン検出法などのパルスプログラム開発が挙げられます。しかしながら、装置開発については多額の導入費用がかかるという問題や、またパルスプログラム開発については、適用できる測定法や対象とする核種が限られるという問題がありました。
本発明者らは、ガウスノイズを含む計測信号について、特異値分解とベイズ最適化とを組み合わせた信号処理を行うことにより、計測データにおける主要な成分を特定し、計測データに含まれているノイズ成分を低減することができることを見い出しました(図1)。
◆効果
・本発明のノイズ低減方法をグリシンの13C化学シフト異方性(CSA)スペクトルに適用したところ、ノイズ低減後のS/N比は25倍に向上することを確認しています(図2)。
・少ない積算回数で同等のS/N比が得られます。
図1本発明の信号処理フローチャート 図2本発明のノイズ低減方法を用いたノイズ低減前後のスペクトル(実線:ノイズ低減前、破線:ノイズ低減後)
開発段階 | 本発明のノイズ低減方法を1次元、2次元NMRスペクトルに適用し、ノイズ低減効果を確認済み。 |
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希望の連携 | •共同研究 •実施許諾契約 •オプション契約 (技術検討のためのF/S) ※本発明は京都大学から特許出願しています。 |
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