発明情報

感染症研究に用い得る呼吸器オルガノイド

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が効率よく感染する気管支オルガノイド(BO)由来の気液界面モデル(BO-ALI)を開発しました。

背景

COVID-19は社会・経済に大きな影響を与えましたが、このような呼吸器感染症の創薬研究を実施するには、ヒト呼吸器を忠実に再現したin vitro呼吸器モデルが不可欠です。しかしながら、十分な感染効率を達成するのは容易ではありません。

発明概要と利点

本発明者らは、正常ヒト気管支上皮細胞を元に、線毛細胞、クラブ細胞、ゴブレット細胞、基底細胞から構成される気管支オルガノイド(BO)を作製し、気液界面培養を行うことによりBOでは内側にもぐりこんでいた線毛細胞が外側に並んだBO-ALIを作製しました。BO及びBO-ALIに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を感染させたのち、培養上清中の感染性ウイルス量を測定したところ、BO-ALIの方がBOよりも2,000倍ほど多いことが分かりました(下図左)。

次に、BO-ALIを使用してCOVID-19治療薬の有効性を評価しました。感染したBO-ALIにカモスタット、レムデシビル、モルヌピラビルをそれぞれ作用させたところ、培養上清中の感染性ウイルス量の有意な減少が確認できました(下図右)。

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また、BO-ALIに異なるSARS-CoV-2のバリアント(8種類)を感染させたところ、いずれのバリアントについてもウイルスゲノム量の経時的増加が認められたことから、バリアントごとの解析研究にも使用できることが確認されました。

今回は新型コロナウイルスで検証を行いましたが、本発明の感染モデルは、今後起こり得る未知の呼吸器感染症研究、創薬研究にも用いられることが期待されます。

開発段階 In vitroで評価済み。
発表状況 Communications Biology 5, 516 (2022)
doi:10.1038/s42003-022-03499-2
希望の連携 ・ 実施許諾契約
・ オプション契約
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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