発明情報

Casファミリータンパク質の送達に適したウイルス様粒子

ラパマイシン誘導体を介したFK506-binding protein(FKBP12)とFKBP12-rapamycin-associated protein 1, FRAP1 fragment(FRB)の会合を利用して、ウイルス様粒子(VLP)内に効率よく目的のタンパク質を封入することに成功しました。

背景

ゲノム編集に用いるCas9タンパク質/遺伝子、gRNA等を細胞内に導入する手法として、脂質ナノ粒子、エレクトロポレーション、ウイルスベクター等、様々な手法が考案されています。ウイルスの外皮だけから構成され、生体内で複製することのないウイルス様粒子(VLP)を利用する技術も開発されていますが、活性のあるCas9及びgRNAを十分量内包したVLPの製造は容易ではありません。

発明概要と利点

本発明者らは、Gagタンパク質とFKBP12との融合タンパク質と、目的タンパク質とFRBの融合たんぱく質とをラパマイシン誘導体(AP21967)を介して結合・二量体化することにより、効率よく目的タンパク質をVLP内に封入できることを見出しました(下図左)。

さらに、目的タンパク質がゲノム編集酵素である場合、gRNAも封入する必要がありますが、gRNAの配列を自己スプライシング活性を有する二つのリボザイム配列で挟み、その上流にレトロウイルスのパッケージングシグナルを配してmRNAとして発現させると、mRNAがVLP内に能動的に封入され、当該mRNAからgRNAが自動的に切り出され、従来よりも粒子当たりのCas9活性が高いVLPが得られることを見出しました。

ゲノム編集によりヒトDMD遺伝子のエクソン45及びその5'側及び3'側のイントロンが導入されたルシフェラーゼレポーター遺伝子(下図右上)をゲノムに挿入したマウスを作製し、CAS9及びヒトDMD遺伝子のエクソン45の5'側を標的とするsgRNAを封入したVLP及びCas9及び3'側を標的とするsgRNAを封入したVLPを腓腹筋内に一回投与しました。インビボ発光・蛍光イメージングにより、経時的にルシフェラーゼの発光を検出したところ、少なくとも160日間、安定的にルシフェラーゼ活性が検出され、マウス筋肉内で安定的にエクソン45のスキッピングが維持されていることが判明しました(下図右下、126日目)。

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開発段階 本手法によるタンパク質の送達はマウス個体レベルで検証済み。
発表状況 Nature Communications 11, 1334 (2020)
doi:10.1038/s41467-020-14957-y
特許情報
発明の名称
ウイルス様粒子及びその使用
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
特許第7306721号
希望の連携 ・ 実施許諾契約
・ オプション契約
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