FOXO1の一過的阻害により膵内分泌前駆細胞の前段階である膵内胚葉細胞の増殖が顕著に促 進されることを見出しました。
インスリン分泌細胞等の膵内分泌細胞は、PDX1+NKX6.1+膵内胚葉細胞に由来し、NGN3+膵内分泌前駆細胞を経て、膵島を形成します。膵内分泌細胞を効率よく製造するには、PDX1+NKX6.1+膵内胚葉細胞の数を増やすことが効果的ですが、そのような技術は知られていませんでした。
本発明者らは、ヒトiPS細胞から膵オルガノイドを生成する6段階の分化誘導プロトコールを考案しました(下図参照)。
FOXO1ノックアウトマウスでは大きな膵島が形成されることから、FOXO1阻害剤(AS1842856)がNGN3+細胞の産生に及ぼす影響を調べたところ、阻害剤(AS)をS4D5(Stage 4 Day 5)のオルガノイドに一過的(24時間)に作用させると、NGN3+細胞が顕著に増えることが分かりました(下図左)。さらに、ASで処理して最終的に得られた膵オルガノイドを調べたところ、いずれの内分泌細胞(INS+/GCG-、INS+/GCG+、INS-/GCG+)も増えていることが示されました(下図右)。
この膵オルガノイドをマウスの腎被膜下に移植したところ、膵オルガノイドは主にGCG+細胞となり、ヒト膵発生と同様に単ホルモン細胞になったことが明らかになりました。
本発明は、従来よりも多くの膵内分泌細胞を簡便に得る技術を提供するものです。
開発段階 | ヒトiPS細胞で実証済み。 |
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発表状況 | Stem Cell Research 44, 101754 (2020) doi:10.1016/j.scr.2020.101754 |
希望の連携 | • 実施許諾契約 • オプション契約 ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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