多能性幹細胞においてNeurogenin 2遺伝子(NEUROG2遺伝子)を短期間発現させるアストロサイトの製造方法を開発しました。
ヒトiPS細胞からアストロサイトを分化誘導する方法について、複数のグループが報告していますが、分化誘導に4週間~数か月という長期間を要するのが一般的で、さらに分化効率も必ずしも高いものではありませんでした。
本発明者らは、多能性幹細胞においてNeurogenin 2遺伝子(NEUROG2)を短期間だけ強制発現させると、発現開始からわずか18日後にはほぼアストロサイトからなる細胞集団が得られることを見出しました。アストロサイトの誘導効率に及ぼすNEUROG2遺伝子の発現時間の影響を示します(下図参照)。
この手法を用いて健常人、アルツハイマー病患者、アレキサンダー病患者由来iPS細胞から誘導したアストロサイトにおけるアストロサイトマーカー遺伝子(GFAP、S100B)の転写レベルを解析しました(下図参照)。健常者由来のiPS細胞だけでなく、神経変性及びグリア変性に起因する神経変性疾患患者由来のiPS細胞に対しても、NEUROG2の強制発現により、わずか12~18日でアストロサイトを分化誘導できることが示されました。
本発明の方法によれば、従来よりも大幅に短い期間、かつ100%に近い高効率で、多能性幹細胞から、形態的且つ機能的に成熟したアストロサイトを製造することができます。得られるアストロサイトは、アストロサイトの生理的機能や病態における役割を解析するためのモデル細胞や、アストロサイトの異常を伴う疾患の治療薬(細胞製剤)として有益です。
開発段階 | ヒトiPS細胞で実証済み。 |
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希望の連携 | ・ 実施許諾契約 ・ オプション契約 ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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