発明情報

がん治療薬のスクリーニング方法及び創薬標的の同定方法

トランスポーザブルエレメントの発現量の増加を指標として、抗がん剤のスクリーニング及び抗がん剤の創薬標的となり得るタンパク質の同定が可能であることを見出しました。

背景

近年、がん細胞の増殖・進展に関わる重要な細胞内シグナルに関係するタンパク質を直接標的とする治療薬(分子標的医薬)が、がん治療に有効であることが示され、新規な創薬標的タンパク質の探索が盛んに行われています。遺伝子発現の網羅的解析等により、そのような標的候補タンパク質をコードする遺伝子を多く見出すことは容易ですが、その中から実際にがん治療の標的となり得る「真の標的遺伝子」を特定するには過度の実験を要します。

発明概要と利点

本発明者らは、がん細胞を初期化する際に、既知標的遺伝子の発現を抑制すると、初期化が亢進することを見出し、この初期化の亢進が、トランスポーザブルエレメントの発現に依拠することを見出しました。そこで、既存の分子標的薬の標的タンパク質を発現するがん細胞を、分子標的薬に接触させて標的タンパク質の活性を抑制したところ、トランスポーザブルエレメントの発現が上昇することを確認しました(下図参照)。

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したがって、有効な標的タンパク質が既知のがん細胞に外来性の初期化因子を導入し、トランスポーザブルエレメントの発現が、被験物質との接触下で増加した場合、当該被験物質が当該標的タンパク質の活性を抑制する機能を有すると確認できることが明らかとなりました。

これら以外のがん細胞株においても、該当する分子標的薬によりトランスポーザブルエレメントの発現上昇が認められたことから、本発明のスクリーニング方法に使用できるがん細胞は、特定の細胞種に限定されず、広く様々ながん細胞種に適用が可能であることが示唆されました。

さらに、トランスポーザブルエレメントの発現量を指標として、抗がん剤の創薬標的となり得るタンパク質を選出・同定することも可能となります。

開発段階 既知の抗がん剤で実証済み。
特許情報
発明の名称
がんの治療薬のスクリーニング方法
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
特許第6830660号
希望の連携 ・実施許諾契約)
・オプション契約
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