より有効かつ副作用の少ないライソゾーム病の新規の予防及び治療薬を提供することに成功しました。
現在、ライソゾーム病の治療薬としていくつかの酵素補充療法が施行されています。しかしながら、これらの酵素補充療法は臨床症状の改善や生存期間の延長など一定の効果を示しますが、1)中枢神経症状や骨格筋症状に効果がない、2)自己抗体の出現、3)アレルギー反応、4)オートファジーの機能不全などさまざまな問題点がありました。
本発明者らは、ポンペ病患者由来iPS細胞から誘導した筋細胞においてオートファジーが亢進していることを見出し、細胞スクリーニング系を確立しました。既存薬ライブラリーをスクリーニングし、HMG-CoA還元酵素(HMGCR)阻害薬(ロバスタチン)が、患者iPS細胞由来筋細胞におけるリソソーム腫大の抑制効果を持つことを初めて明らかにしました。また、GNEミオパチー患者由来のiPS細胞を用いた薬効評価でも同様の効果を確認しました。これによって、より有効かつ副作用の少ないライソゾーム病の新規の予防及び治療薬を提供することに成功しました。
⮚新規性
LSDに共通する病態でありながら、従来の酵素補充療法では介入できなかったオートファジーの機能不全を改善することができます。
⮚産業上の利用性
オートファジーの機能不全による毒性物質の蓄積による細胞の損傷・ストレスや、ミトコンドリアの機能不全等による細胞死が抑制され、生命予後の改善のみならず、骨格筋症状や中枢神経症状の改善も期待できる点で極めて有用です。
図1.LSD予防・治療薬のスクリーニング結果
横軸に蛍光強度、縦軸に細胞内のオートファジー小胞の面積を示す。
開発段階 | 医薬品の用途特許であり、臨床試験等が必要である。すでに販売されている医薬品のため、完成度は高いと思われる。 |
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