アルツハイマー病の予防、治療、または診断に有用な微生物由来化合物を発明しました。
アルツハイマー病(AD)の発症は、個人が有するゲノム情報のみならず、マイクロバイオームと呼ばれる体内の微生物からなる細菌叢が寄与することが示唆されています。しかしながら、その詳細なメカニズムは分かっていませんでした。現在、アルツハイマー病の治療薬は、ドネペジルを初めいくつかの治療薬が市場に登場していますが、未だ根本的な治療薬は見出されておらず、これまでにないような構造やメカニズムを有する新たな治療薬の創薬が切望されていました。
本発明者らは、AD患者由来のiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いて微生物由来化合物をスクリーニングした結果、Mer-A2026A、ベルカリンA、カラフンギン、コンカナマイシンA、エフォマイシンA、ブレフェルジンA、ユーペニフェルジン、エライオフィリン、ボロマイシンがアルツハイマー病治療剤となり得ることを明らかにしました。
⮚有用性
本発明で用いる微生物由来化合物は、Aβ42量やAβ42/40比を変化させる作用を有するため、アルツハイマー病の予防、治療、または診断に有用です。
⮚期待性
本発明で見出された予防または治療用化合物は、これまでAD治療薬としては未知の構造群の化合物であり、既存のAD治療薬の問題点を克服した薬剤として期待される。また、本発明で見出された診断用化合物は、これまでADバイオマーカーとしては未知の構造群の化合物であり、既存のADバイオマーカーの問題点を克服した化合物として期待されます。
図.スクリーニングにおけるAβ42/40比をプロットした結果
スクリーニングした各微生物由来化合物について、家族性と孤発性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞から誘導した大脳皮質神経細胞を用いたスクリーニングにおけるAβ42/40比をプロットした結果です。
開発段階 | AD患者由来ips細胞を用いて、Mer-A2026A、ベルカリンA、カラフンギン、コンカナマイシンA、エフォマイシンA、ブレフェルジンA、ユーペニフェルジン、エライオフィリン、ボロマイシンの添加によりADの主要な病理である脳内のアミロイドβ沈着を評価するバイオマーカーAβ42/40比が減少することを確認済み。 |
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