多能性幹細胞を所定のサイトカインを含む無血清培地中で培養する中胚葉細胞の製造方法、得られた中胚葉細胞を所定の造血因子を含む培地で培養する各種血液細胞の製造方法を開発しました。
多能性幹細胞は、そこから分化誘導された細胞を移植する再生医療・細胞治療、in vitroの病態モデルの作製等に注目されています。多能性幹細胞から血球系の細胞を作製する方法が幾つか報告されていますが、これまで、胚様体の形成や異種細胞との共培養法を用いず、なおかつ限定された成分の培地を用いる方法で多能性幹細胞から中胚葉、さらには造血幹細胞又は造血前駆細胞が作製されたことはありませんでした。
本発明者らは、多能性幹細胞を単独で、血清を含まない培地を用いて、BMP4及びVEGF等のサイトカインを適宜添加して、接着培養することにより中胚葉細胞を作製し、続いて、この中胚葉細胞へ造血因子を添加し培養を続けることで造血幹細胞又は造血前駆細胞を分化誘導する手法を確立しました。分化誘導は、原始線条誘導段階(工程A)、中胚葉誘導段階(工程B)及び造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞誘導段階(工程C)から構成されています(下図参照)。
工程Cでは例えば骨髄系細胞、巨核球及び赤芽球細胞は、それぞれ骨髄系誘導因子カクテル(SCF、TPO、IL-3、Flt3-ligand及びG-CSF)、巨核芽球・赤芽球系誘導因子カクテル(SCF、TPO、IL-3、FP-6及びEPO)を用いて、中胚葉細胞より分化誘導を行うことができます。
本発明により、多能性幹細胞から規定された条件下で、効率よく中胚葉及び造血幹/前駆細胞を製造することが可能となり、再生医療・細胞治療での利用が拡大することが期待されます。
開発段階 | ヒトES/iPS細胞で実証済み。 |
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発表状況 | PLoS ONE 6, e22261 (2011) doi:10.1371/journal.pone.0022261 |
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