病態評価や創薬スクリーニングを行うために必要である十分に成熟した筋管細胞を製造する方法を開発しました。
成熟した筋管細胞では、整列したサルコメア構造、整列したT管構造、筋小胞体とT管により形成される3つ組構造が観察されます。3つ組構造や整列したT管構造の異常の有無は、形成過程にある未熟な筋管細胞では判断が難しく、十分に成熟した筋管細胞において観察する必要があります。したがって、3つ組構造や整列したT管構造の異常を有する疾患の病態評価や、創薬スクリーニングを行うために、十分に成熟した筋管細胞を製造する方法が求められていました。
発明者らは、iPS細胞由来骨格筋幹細胞を起点に成熟した骨格筋細胞を誘導する新しいプロトコルを確立しました。分化用培地の組成を改良し、さらに基底膜マトリックスの重層と小分子アグリンの添加を行うことで最も成熟した形態の骨格筋細胞を得ることに成功しました。本発明により製造された成熟筋管細胞は、整列したT管構造および筋小胞体とT管により形成される3つ組構造を有する筋管細胞です。
⮚ 新規性
整列T管構造を有する骨格筋をヒトiPS細胞から作成したという報告はこれまでになく、本法によりサルコメア構造整列よりさらに成熟化が進んだいわゆる「完全に成熟した」骨格筋細胞の作製が実現しました。
⮚ 病態研究・創薬スクリーニング
本発明の製造方法により、遺伝性筋疾患個体由来の骨格筋幹細胞から製造された成熟筋管細胞は、当該遺伝性筋疾患の病態研究や、創薬スクリーニングに好適に使用することができます。
開発段階 | 成熟化の進んだ筋管細胞を取得済 |
---|---|
希望の連携 | ・ 実施許諾 ・ オプション(非独占/独占) ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階