多能性幹細胞をFGF2、レチノイン酸およびBMP4を含む培養液中で培養することにより神経堤細胞および交感神経細胞を製造する方法を発見しました。
交感神経は末梢自律神経であり、不随意な機能を制御します。発生学的には交感神経細胞は体幹部神経堤細胞に由来することが知られています。多能性幹細胞より交感神経細胞を誘導する方法についてこれまでいくつかの報告がありますが、分化効率が十分ではないという問題がありました。そこで多能性幹細胞から交感神経細胞を効率よく製造することが望まれていました。
本発明では、多能性幹細胞をFGF(Fibroblast growth factor)2,レチノイン酸およびBMP(Bone morphogenetic protein)4を含む培養液中で培養することで神経堤細胞へ分化誘導できます。神経堤とは、脊椎動物の発生における神経管形成時、神経外胚葉と表皮外胚葉の境界に現れる一過的組織のことをいい、ここから脱上皮化して遊走する細胞群のことを神経由来細胞といいます。神経堤由来細胞は例えば神経堤マーカーであるSOX10とFOXD3などの存在により定義づけられています。
さらには、神経堤細胞をサイトカインおよびBMP4を含む培養液中で培養することで交感神経前駆細胞へ分化誘導できます。
➢本発明で分化誘導された交感神経細胞は再生医療や疾患もモデルの作成、創薬などに応用可能
図1 交感神経細胞への分化誘導プロトコル
開発段階 | ・iPS細胞から神経堤細胞を誘導する条件を確立 ・交感神経細胞への分化を実証 |
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発表状況 | Sci Rep. 2020 Jun 11;10:9464. doi: 10.1038/s41598-020-66303-3 |
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