中間中胚葉細胞をドパミンD1受容体アゴニスト等で処理してステロイド産生細胞を分化誘導する方法を発見しました。
ステロイドホルモンは生存に不可欠であり、十分な量が産生されないと副腎機能不全となります。このような場合に対して近年、多能性幹細胞を用いる再生医療に期待が寄せられています。多能性幹細胞からステロイド産生細胞を製造する方法はいくつか例があります。しかし、これらの研究ではステロイド産生が限定的、あるいはステロイド産生細胞の特徴づけが十分でないといった問題がありました。
本発明では、中間中胚葉細胞をドパミンD1受容体アゴニスト、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびドパミンからなる群より選択される1またはそれ以上の物質で処理することにより、ステロイド産生細胞に分化誘導することができます。
➢中間中胚葉細胞からステロイド産生細胞を大量かつ効率的に分化誘導できる。
➢3β-HSDの発現量を測定することで、ステロイド産生細胞を分化誘導する物質のスクリーニングができる。
図1a.OSR1⁺細胞におけるドパミンD1受容体の発現量を調べる実験
図1b.3種類のドパミンD1受容体アゴニスト(ペルゴリド、A68930、SKF83822)でOSR1⁺細胞を処理した際の3β-HSD発現量
図1c.D1受容体アンタゴニスト(SKF83566)によってカベルゴリンの促進効果がブロックされた
図1d.ドパミンD1受容体の第2のメッセンジャーとして知られる細胞内サイクリックAMP(cAMP)のアッセイを行った。
これらの結果を総合すると、ドパミンD1受容体シグナリングによって、細胞内cAMPが増加して、ステロイド産生細胞への分化が促進されることがわかった。
開発段階 | 中間中胚葉細胞からステロイド産生細胞への分化誘導プロトコルを確立。 |
---|---|
発表状況 | Sci Rep. 2017 Nov 9;7(1):15120. doi: 10.1038/s41598- 017-15485-4 |
特許情報 |
|
希望の連携 | •実施許諾契約 •オプション契約 |
関連リンク | PDFで見る |
〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階