特定の因子を含む培地を用いて、ナイーブ型多能性幹細胞から栄養外胚葉をin vitroで製造することに成功しました。
受精卵は胎児成分と胎児の成長を支える胚体外成分に分かれ、胚体外組織は胎盤などを形成します。ヒト多能性幹細胞はマウスに比べ発生段階が進んだプライム型であり、胚体外組織への分化が困難でした。発明者らはNANOGとKLF2を導入することでナイーブ型へのリセットに成功し、着床前の発生過程再現が可能となりました。これにより、特に胎盤形成に関わる栄養膜細胞の分化異常は妊娠合併症と関係し、そのメカニズム解明が求められているところ、それらの研究ツールとしての活用が期待されます。
本発明では、ナイーブ型多能性幹細胞を用いて、4因子、TGFβ阻害剤、MEK阻害剤、BMPおよびJAK阻害剤のうち2種以上を含む培地で培養することで、効率的に栄養外胚葉を誘導する技術を得ました。さらに栄養外胚葉やその下流で分化する細胞性栄養膜細胞、細胞性栄養膜幹細胞、合胞体栄養膜細胞、絨毛外栄養膜細胞までの分化誘導も可能であることを見出しました。また、これらの細胞を識別する特異的マーカー分子を同定しました。
これにより、ヒト胚体外組織の発生過程を再現し、着床・胎盤形成メカニズムの解明や再生医療応用への展開が期待されます。
開発段階 | ヒトiPS細胞を用いて実証済み。 |
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発表状況 | Cell StemCell.2021Jun3 ;28(6):1023-1039.e13. doi: 10.1016/j.stem.2021.03.013 |
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