発明情報

ネフロン前駆細胞の拡大培養及び、腎臓オルガノイド製造法

本発明では、BMP7を用いることなく、ネフロン前駆細胞を拡大培養することが可能な培地を作製し、培養コスト、培養時間を大幅に減少させました。

背景

日本において慢性腎臓病(CKD)患者は約1,300万人と推定され、末期腎不全患者は30万人以上が透析を必要としており、医学的・経済的に深刻な問題となっています。そこで、腎臓発生においてネフロン前駆細胞はネフロンの主要な構成要素に分化する多分化能を持っており、治療薬を開発する上で注目されています。しかし、現在報告されているネフロン前駆細胞の培養法では高価なBMP7が用いられており、培養コストと効率が課題でした。本研究は、BMP7の代替となる安価な低分子化合物の探索および効率的なネフロン前駆細胞の増殖法の開発を目的としています。

発明概要と利点

本発明者らは、ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地として、FGF2、ヘパリン、ROCK阻害剤、GSK3β阻害剤、白血球阻害因子(LIF)、ALK阻害剤、BMP阻害剤、及びJAK阻害剤を加えればよいことを発見しました。これには高価なBMP7を必要としません。また、上記培地で培養すると、ネフロン前駆細胞の増殖がより良好となりました。


再生医療
腎不全患者への移植など、失われた腎機能の回復を目指す再生医療への応用が期待できます。


臓器再構築
より複雑で機能的な腎臓組織の再構築研究ができます。

病態モデル作製
慢性腎臓病などの腎疾患の病態メカニズム解明のためのinvitroモデルを作製できます。

創薬スクリーニング
腎臓病治療薬の候補物質の効率的な探索・評価が可能になります。

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開発段階 BMP7を用いることなく、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法を開発。
発表状況 BiochemBiophysResCommun.2018Jan1;495(1):954-961.
doi:10.1016/j.bbrc.2017.11.105
希望の連携 •実施許諾契約
•オプション契約
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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