多能性幹細胞から得られたPDX1陽性NKX6.1陰性細胞を、KGF、EGF及びBMP阻害剤等を含む培地中で培養することで膵芽細胞を分化誘導できることを初めて見出しました。
1型糖尿病の治療法として、インスリン産生細胞を患者に移植することが検討されています。インスリン産生細胞を得る手段として、多能性幹細胞を分化誘導する方法がありますが、in vitroで作製したインスリン産生細胞を生体内に投与して、グルコース応答能を獲得したという報告はありませんでした。
本発明者らは、(i)多能性幹細胞をアクチビンを含む培地で培養する工程(Stage 1)、(ii)工程(i)で得られた細胞をKGFを含む培地で培養し、次いでKGF、BMP阻害剤、レチノイン酸誘導体及びヘッジホッグ経路阻害剤を含む培地で培養する工程(Stage 2)、(iii)工程(ii)で得られた細胞を単一細胞へ分離した後、KGF、EGF及びBMP阻害剤を含み、さらにROCK阻害剤又は非筋ミオシンII阻害剤を含む培地中、接着培養条件下で培養する工程(Stage 3)からなる手法により膵芽細胞を得ることに成功しました(下図参照)。
得られた膵芽細胞を免疫不全マウスの腎臓被膜下に移植しました。移植後150日目のマウスに対して、絶食5時間以上後にグルコースを腹腔内投与し、ヒトC-Peptideの増加量を測定したところ、グルコース投与群において、有意にC-Peptideの量が増加していました(下図参照)。投与された誘導膵芽細胞は生体内に生着した後、血中グルコース量に応答して、インスリンを産生する機能を有していることが確認され、インスリン分泌不全に対する治療剤として利用できることが示唆されました。
開発段階 | ヒトES/iPS細胞で実証済み |
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