多能性幹細胞からPDX1陽性NKX6.1陰性細胞を経て、PDX1陽性NKX6.1陽性の膵芽細胞へと分化誘導する三段階の工程から成る製造プロトコールを開発しました。
1型糖尿病の根本治療として、膵臓移植又は膵島移植が行われていますが、移植可能な膵臓又は膵島は不足しており、さらに移植片に対する免疫拒絶反応を回避するため、免疫抑制剤を一生服用し続ける必要がありました。このため、体外で患者由来の細胞からインスリン産生細胞を誘導し患者に移植する移植医療が検討されています。
本発明者らは、多能性幹細胞から得られたPDX1陽性NKX6.1陰性細胞を、KGF、EGF、BMP阻害剤及びAkt阻害剤を含む培地中で培養することで膵芽細胞を効率よく分化誘導できることを初めて見出しました。多能性幹細胞からの分化誘導プロトコールを以下に示します。
Akt阻害剤(AT7867)を添加して培養したStage 3の0日目から4日目まで毎日細胞を採取し、定量PCRによりPDX1、PTF1A及びNKX6.1それぞれの遺伝子発現量を測定しました。AT7867の添加により、経時的にPDX1及び、膵芽細胞への分化の指標となる転写因子であるPTF1A及びNKX6.1の発現量が上昇することが確認されました(下図参照)。
本発明で得られる膵芽細胞は、移植医療の原材料となることが期待されます。
開発段階 | ヒトiPS細胞で実証済み。 |
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発表状況 | Stem Cell Research 24, 61–68 (2017) doi:10.1016/j.scr.2017.08.010 |
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