核初期化を行う体細胞と同じ細胞をフィーダー細胞として用いることにより、安全性の高いiPS細胞の製造・培養方法を確立しました。
iPS細胞は通常、フィーダー細胞を用いて樹立・培養されるため、得られたiPS細胞はフィーダー細胞由来の抗原、未知のウィルス・病原体により汚染されたりする可能性があります。したがって、iPS細胞をヒトの治療に用いるには異種細胞及び他者細胞の混入リスクを低減させる必要がありました。
本発明者らは、iPS細胞を製造する際、iPS細胞の元となる細胞と由来を同一とする細胞(自家細胞)をフィーダー細胞に用いて培養することにより、上記の課題を解決できることを見出しました。
四つのヒト線維芽細胞株(NHDF、1388、1392及び1503)にレトロウイルスを用いて四つの核初期化因子(OCT3/4、SOX2、KLF4及びc-MYC)を導入し、それぞれ元となった線維芽細胞株をフィーダー細胞として培養しました。得られたiPS細胞における多能性マーカー(OCT3/4、SOX2、NANOG)の発現をRT-PCRにより解析したところ、マウス線維芽細胞(SNL)をフィーダー細胞として維持したES細胞及びiPS細胞(201B7)と同等の発現レベルを有していることが分かりました(下図参照)。また本発明の方法で樹立したiPS細胞の多能性を調べるため、胚様体を形成しin vitro分化を行ったところ、内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞の出現が確認されました。またiPS細胞の核型を分析しても、染色体異常は確認できませんでした。
このように、本発明の方法により、再生医療の材料として好適な安全性の高いiPS細胞が製造できることが示されました。
開発段階 | ヒトiPS細胞の樹立・培養で実証済み。 |
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