発明情報

神経細胞賦活剤

神経細胞の軸索伸長促進、神経軸索側枝増大、細胞死抑制及び神経細胞数増加等の神経細胞賦活効果を有するたんぱく質群を同定しました。

背景

神経疾患に対する治療アプローチとして、神経細胞のさらなる細胞死を抑制する方法が試みられていますが、発症や進行の遅延を目的としており、一度失われた脳機能を回復させることは困難です。脳機能回復を目的として、移植によって神経細胞を補充する方法も行われていますが、移植細胞の生着率は低く、分化・成熟する細胞の割合は非常に低く、治療効果の大きな妨げとなっていました。

発明概要と利点

本発明者らは、マウス大脳皮質傷害モデルの遺伝子発現解析から神経細胞賦活効果を有するタンパク質を抽出し、組換えタンパク質として神経軸索伸長促進を検証したところ、CCL12、CD52、CST7、LYZ2等に伸長促進効果が見られました。このうちリゾチーム(ヒトLYZ)に関して、ヒト多能性幹細胞由来大脳皮質オルガノイドを用いて軸索伸長と神経細胞の細胞総数に与える効果を検討しました。ヒトLYZの添加により、軸索伸長促進効果(下図左)及び神経細胞数増加効果(同右)が見られました。

[7048]fig.1.png

次にヒトES細胞由来のドパミン神経前駆細胞をヒトLyz組換えタンパク質存在下で一定期間培養した後、成体マウスの脳に移植し、移植した細胞の生着に対するヒトLyzの効果を検討しました。Lyz処理群では、対照群と比較して移植片のサイズが有意に増大していことから、Lyzで前処理した細胞の移植で有意に細胞生着が促進されることが示されました(下図参照)。

[7048]fig.2.png

これらのタンパク質は、細胞移植の効果を高める補助剤、あるいは神経疾患の治療/予防剤として期待されます。

開発段階 細胞レベル、マウス個体への移植で効果を実証済み。
特許情報
発明の名称
神経細胞賦活剤
出願人
国立大学法人京都大学
出願番号
WO2022/131322
希望の連携 ・ 実施許諾契約
・ オプション契約
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