発明情報

ナイーブ型多能性幹細胞からの原始内胚葉誘導方法

原始内胚葉をインビトロで多能性幹細胞から調製する方法です。ナイーブ型多能性幹細胞を、特定培地で培養することで原始内胚葉を誘導できることを発見しました

背景

哺乳動物の発生段階においては、胚盤胞の内側に内部細胞塊が形成され、そこからエピブラストと原始内胚葉が出現します。これらの発生プロセスを多能性幹細胞により再現することは発生学によって重要です。しかしながら、ヒトESCやiPSCは発生が進んだプライム型に分類され、エピブラストや原始内胚葉への分化が困難でした。そこで、本発明者の一人である高島はヒト多能性幹細胞に2つの遺伝子を発現させることで、ナイーブ型多能性幹細胞を得ることに成功し、これを用いて原子内胚葉の誘導に関する研究を行いました。

発明概要と利点

本発明では、ナイーブ型多能性幹細胞を用い、これをBMP(Bonemorphogeneticprotein)およびFGF4(Fibroblastgrowthfactor4)、好ましくはさらにPDGF(Platelet-DerivedGrowthFactor)、IL-6(Interleukine-6)、TGFβ阻害剤、Wntシグナル阻害剤およびレチノイン酸から選択される1種類以上を含む培地で培養することにより、原始内胚葉(PrE)を効率よく誘導できることを見出しました。

●原始内胚葉マーカー
GATA3、GATA4、GATA6、SOX17、FOXA2(ForkheadBoxA2)、HNF4A(HepatocyteNuclearFactor4Alpha)、CER1(Cerberus1)、OTX2(OrthodenticleHomeobox2)、PDGFRA(PlateletDerivedGrowthFactorReceptorAlpha)、COL4A1(alpha-1subunitofcollagentypeIV)、SPARC(Secretedproteinacidicandrichincysteine)などがあります。

ヒトナイーブ型PSC由来PDGFRA陽性細胞はPrEに同等です

スクリーンショット 2025-09-05 155938.png

図1.H9-naiveより誘導された細胞とヒト胚におけるEpiblastとPrEに関するTop100遺伝子の発現の比較
H9-naive型多能性幹細胞は上記の培地を利用すると、PrEマーカーであるPDGFRAが発現した細胞に誘導される。PDGFRA陽性細胞と、ヒト胚を比較した結果、Day0はエピブラストに近く、Day3はPrEに近いことがわかった。

開発段階 インビトロで多能性幹細胞から原始内胚葉を誘導できることを実証済み。
発表状況 Nature. 2024 Feb;626(7998):357-366.
doi: 10.1038/s41586-023-06871-2
特許情報
発明の名称
ナイーブ型多能性幹細胞からの原始内胚葉誘導方法
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
特許第 7176764号
希望の連携 •実施許諾契約
•オプション契約
関連リンク PDFで見る

お探しの情報は見つかりましたか?

  • 興味のある研究がある
  • 必要な情報が見つからない
  • 活用したいが流れがわからない

どんなことでも、まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
トップへ戻る
株式会社TLO京都

〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学 国際科学イノベーション棟3階

お問い合わせ