ヒト多能性幹細胞(PSC)から造血性内皮細胞(HE)を経て、造血前駆細胞(HPC)を安定かつ大量に作製する方法を開発しました。
HPC誘導は、PSCからHEへの誘導と、それに続くHPC誘導の2段階に大別されます。HPC誘導は以前から行われていましたが、将来の患者への細胞治療を考えた場合、十分な細胞数を安定に得ることが必須であり、HPC分化誘導の基礎となるHEを、高純度かつ大量に、安定して供給し得る培養系とそのHEを効率的にHPCへ誘導する培養系の確立が必要とされていました。
本発明では、HPC誘導におけるPSCからHEへの誘導とそれに続く、HEからHPCへの誘導の2段階について効率化及び安定化を行いました。前者では、均一な胚様体を均一な密度で底面接着することによる、3次元と2次元培養法の融合により安定かつ低コストな誘導法を、後者では特定の培地組成と細胞外マトリクスを用いることにより、HEをHPCに効率よく安定に変換する誘導法を開発しました。今回の発明により、細胞治療を見据えたスケールアップが可能になります。
⮚HEの安定な分化誘導が可能
微細加工培養容器を用いて、胚様体形成のサイズと密度のバラつきを改善しました。
⮚分化誘導途中における細胞の乖離が容易
MACSソーティングで高純度のHEを安定して得られるようになりました。
⮚高効率なHPC産生が可能
HEからHPCを分化誘導する際にStemliⅡ培地とFibronectinを用います。
開発段階 | ・PSCからHEへの誘導を、均一な胚様体と接着法の融合で安定化・効率化 ・スケールアップに対応可能 |
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発表状況 | J VisExp.2019Jun16:(148). doi:10.3791/59823 |
希望の連携 | •実施許諾契約 •オプション契約 ※本発明は京都大学から特許出願中です。 |
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