発明情報

心外膜細胞の再生を促進し、心臓の損傷を治療する!

細胞周期を制御するタンパク質p21(CDKN1A)を阻害することで、心外膜細胞の再生能力が高まることを発見しました。

背景

心臓の再生能力は種や発達段階によって異なり、成人のヒトにはその能力がありません。特に心外膜は心臓再生に重要ですが、成人は再活性化されず再生能が低いことが問題です。既存のヒトiPS細胞由来の心外膜細胞の分化法は、分化誘導や細胞特性評価に焦点を当て、再生能力の強化には寄与していません。また、タンパク質p21は他臓器の再生に関与する可能性が示唆されますが、心外膜細胞への影響は未解明でした。

発明概要と利点

心外膜細胞の細胞周期を制御するタンパク質p21(CDKN1A)を阻害することで、心外膜細胞の再生能力が高まることを発見しました。研究者らはCDKN1A遺伝子を標的とするsiRNA配列を設計し、その発現を抑制する実験を行いました。その結果、CDKN1Aを抑制することでヒト心外膜細胞の増殖が促進され、再生関連遺伝子の発現も増加することが示されました。

心外膜細胞の再生能力の向上

 p21(CDKN1A)をsiRNAで阻害することで、ヒトiPS細胞由来の心外膜細胞の増殖能と生存率が著しく向上しました。従来不可能だった成人心臓の心外膜再生促進が新たな治療選択肢として期待されます。

心外膜由来の創傷治癒能力の強化

 心臓手術や心筋梗塞後の修復促進が可能になる可能性があります。

再生医療に向けた新たな創薬標的の確立

 p21阻害により心外膜の再生が促進されることが明らかになったため、siRNA、shRNA、抗体、低分子化合物などによる薬剤開発が可能になりました。心血管疾患に対する再生誘導型の新規治療薬の開発が期待できます。

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開発段階 ヒトiPS細胞由来の心外膜細胞を用いた基礎研究段階で、p21(CDKN1A)阻害による再生能力向上を実証済み。
発表状況 NPJ Regen Med. 2022 Feb 2;7(1):14.
doi: 10.1038/s41536-022-00207-w
希望の連携 ・ 実施許諾
・ オプション(非独占/独占)
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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