再生医療製品としての分化細胞の純化に適切な方法を確立しました
多能性幹細胞は、体のほぼあらゆる細胞に分化することができ、その特性を利用して、再生医療や創薬研究が行われています。しかしながら、少量の未分化な細胞を含む細胞試料を移植した際に、動物モデルにおいて奇形腫が発生したことにより、安全性に対する懸念が提起されてもいます。従って、多能性幹細胞を再生医療に用いるにあたっては、分化させた細胞集団に混在する未分化細胞すなわち多能性を保持している細胞を取り除くことが必要となります。
本発明は、ポリフェニルアラニン誘導体(リン酸化Dペプチド)が多能性幹細胞のみを選択的に細胞死させることができる旨の知見を利用し、対象細胞群から含有される多能性細胞を除去することを可能としました。従来から用いられている多能性マーカーであるSSEA-4に対する抗体を使用して、フローサイトメーター等を用いてソーティングを行う手法は、移植材料に抗体の混入が懸念されることから、再生医療製品として目的細胞を用いる上での課題となり得るものでした。この点、細胞死を通じてのiPS細胞の除去は、除去効果が高いだけでなく、除去のための処理時間の短縮もでき、尚且つ経済的に大容量で容易に合成できる点においても優れています。
開発段階 | ・ヒト試料を用いたin vitro実験により効果確認 |
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発表状況 | Cell Chem Biol. 2017 Jun 22;24(6):685-694.e4. Doi:10.1016/j.chembiol.2017.04.010 |
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