発明情報

iPS細胞作製に係る安全性/効率を改善!

血液細胞からのmRNA導入法による高効率なiPS細胞作製を可能にしました。

背景

現在、iPS細胞の作製方法に関し様々な手法が存在しますが、特に初期化因子の導入方法に関しても使用ベクター種別に応じて様々な方法が鋭意検討されているところ、mRNA初期化因子遺伝子のmRNAを体細胞に導入して初期化因子を発現させてリプログラミングすることによりiPS細胞を作製するmRNA導入法は、初期化因子の残存がないという大きなメリットがあります。
体細胞の種別(皮膚線維芽細胞, 末梢血, 歯髄, 尿等)を問わずに効率的にiPS細胞を作製する方法は、mRNA導入法においても同様に求められています。しかしながら、末梢血は外部からの遺伝子導入によるストレスに弱く、遺伝子導入後の細胞が多く死んでしまうため、iPS細胞の樹立効率自体が低いというデメリットを有していました。

発明概要と利点

本発明は、多能性幹細胞の足場材として知られるラミニン511又はラミニン521をiPS細胞の作製段階から細胞外マトリクス/足場材として用い、且つユビキチン化分解を回避するS367A変異を導入したMDM4遺伝子(MDM4-S367A)を従来から知られる初期化遺伝子に付加して導入することにより、mRNA導入法において従来よりも10倍以上も効率的にiPS細胞を作製する方法を提供するものです。培地として使用するラミニンは、α5鎖を有するラミニン全般であり、また、全長ラミニンではなく該当インテグリン結合活性を有するフラグメントであっても良いものです。本発明により、新たな足場材の開発を要さず、市販されているラミニン511やE8フラグメントを用いて血液細胞からmRNA導入法によりiPS細胞の作製が可能となりました。

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MDM遺伝子導入に伴うiPS細胞樹立効率改善の効果.
初期化因子(OSKMNL)に加えてmCherry、p53-R175H、MDM2、またはMDM4の合成mRNAをPBMCに導入して初期化を行い、出現したiPS細胞様コロニーを多能性マーカー(未分化マーカー)のTRA-1-60抗体で染色し、コロニー数をカウントした結果。mCherryを加えた場合を1(コントロール)としたときの倍加量を計算した結果、MDM4を加えた場合に10倍以上の倍加量が確認された。

開発段階 ヒト試料を用いたinvitro実験により効果確認
発表状況 ScientificReportsvolume15,Articlenumber:30620(2025)
doi:10.1038/s41598-025-16446-y
特許情報
発明の名称
多能性幹細胞の製造方法
出願人
国立大学法人京都大学
登録番号
特許第 7664656号
希望の連携 •実施許諾契約
•オプション契約
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