発明情報

炎症性疾患に有効な新規核酸医薬

既存薬とは異なる作用点で炎症性サイトカインを抑制し、動脈硬化や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)をはじめとする炎症性疾患に新たな治療法を提供します。

背景

炎症性疾患の潜在患者数は国内外で極めて多く、動脈硬化や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)をはじめとする慢性疾患の発症・進行に深く関与しています。特に、マクロファージの慢性的な炎症状態は、動脈硬化におけるプラーク形成やMASHにおける肝臓の炎症や線維化の進行に大きな影響を与えます。既存薬では治療の選択肢そのものが限定的であり、マクロファージの炎症を分子レベルで制御する新たな治療法へのニーズが高まっています。

発明概要と利点

発明者らは、ヒトマクロファージにおいてコレステロールによって発現量が変動する長鎖タンパク質非コートRNA(lncRNA)遺伝子を同定しました。当該lncRNA を抑制できる人工核酸を開発し、ヒトマクロファージに導入すると、炎症性サイトカイン遺伝子のRNAの成熟が阻害され、結果としてIL-6やTNF などの炎症性サイトカインの発現量が抑制されることを見出しました。本発明によって、新しい治療標的と核酸医薬品が提供されます。


動脈硬化巣の減少・MASH肝臓の線維化エリアの減少を確認
マウスにおいて相同lncRNAを欠損させることにより、マクロファージの炎症が抑制され、動脈硬化やMASHにおける病変の進展が抑制されることを確認しました(図1)。また、このlncRNAを抑制する人工核酸の投与により、
炎症及び肝機能の指標の改善を認めました。


既存の治療との併用が可能
本技術はマクロファージを標的として炎症を制御する点に特徴があり、脂質代謝や血糖制御を主とする従来の治療とは作用機序が異なります。そのため、既存の治療との併用や、動脈硬化、MASH以外の炎症性疾患への展開も期待されます。

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図1. lncRNAの欠損による病変抑制効果
A.動脈硬化モデルマウス:LncRNA欠損(KO)において、Sudan IVで染色されるプラーク
の量がLncRNA野生型(WT)よりも減少する。
B.MASH/NASH疾患モデルマウス:LncRNA欠損(KO)において、肝臓の線維化エリアの
軽減が認められた。

開発段階 •Invitroでは当該lncRNA(ヒト)を抑制する人工核酸の導入で、抗炎症効果を確認
•Invivoでは相同lncRNA(マウス)を欠損させた疾患モデルマウスにおいて、動脈硬化巣の減少・MASH肝臓の繊維化エリアの減少を確認
TRL:レベル3
希望の連携 •実施許諾契約
•オプション契約
•共同研究契約
※本発明は京都大学から特許出願中です。
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